古市久美子建築設計事務所FuruichiKumiko&Associates

子どもたちと遊びつつ山に登り海に潜り、建築のことを考えてます。

子どもたちと遊びつつ山に登り海に潜り、建築のことを考えてます。

方南町の家 house hounancho

/方南町の家 設計memo/

敷地は新宿副都心からもさほど遠くない密集市街地です。敷地前面には昔ながらの狭い路地が残っていました。その路地の向かいには古くからある質屋があり、その庭には丁寧に剪定された柿の木と、大谷石でできた蔵がありました。そんな路地にある奥行き17m間口が5mの敷地の築50年平屋住宅の建て替え計画です。既存家屋は古い木造平屋でした。その空間をとてもいい感じにプチリノベを繰り返し、住まわれていました。打ち合わせはオーナー宅にて行われました。私はまだ赤ん坊だった次男をおんぶして敷地調査をしたことを思い出します。 オーナーにも同じ年頃のお子さんがいらっしゃり、猫もいました。(結局、猫氏にはなかなか会えなかったけど)。打ち合わせでは大体こどもの話やまだまだお互い手探りの育児の話で盛り上がっていました。
既存の平屋がもつ路地と家の関係はそのままに、路地の延長の中に住居もありたい思い、1階に縁側のような場所があると良いと思いました。自然に人の集まる場所になりそうだったからです。
通常、都心型の密集市街地で3階建というと、(法的な規制と希望の面積から3階建というのは決まっていました)1階の室内の日照は諦めることが多いかと思います。この路地の感じから言ってそれはあまりにも勿体無いなあと思いました。逆に、1階に日照を届けることができれば、路地から続く人が集まる場所、あるいは子供達が楽しく過ごせる場所ができるのではないかと思いました。
検討した結果、3階から1階まで断面を冬の日射の勾配なりにすれば、1階まで光が通り土間を設ければ蓄熱もされます。かつ、それぞれの階の出が下階の庇の役割をして夏の日差しは届かず、夏の土間蓄冷も可能ということがわかりました。(断面図参照)
1階の土間は、縁側のような存在ですが、街に開くこともできるし閉じることもできるように、木製格子戸の3枚引戸を設置。開け放せば庭まで繋がり、風も抜けます。夏場は木陰のようなひんやりした場所になり、冬は暖かな日差しが入り、暖かいです。

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