[Renovation] アンブレラ関内 /明蓬館高校関内SNEC Bay1 umbrella Kannai /Meihoukan Kannai SNEC Bay1
/アンブレラ関内 明蓬館高校 SNEC Bay1 -発達障害の高校生のための通信教育の拠点vol.1-設計メモ /
プロジェクトリーダーの横浜コミュニティデザインラボの宮島真希子さんから声をかけられたのはある秋の日。
当時、横浜コミュニティデザインラボが運営するシェアオフィス、さくらワークス関内 に席をおいておりました。
「今、お時間あったら、ちょっと上を見てもらえたら」
そんなカジュアルな感じで誘われて、シェアオフィスと同じビルにある空室を下見同行したのがこのプロジェクトの始まりでした。
発達障害の高校生のための通信制高校の教室を作りたい、もう10年近く前から温めているとても大切な企画で、
local good yokohamaクラウドファンディングにて地域の方々に同志を募り、資金を集めるつもりなのだ、というお話でした。
さて、予算が厳しいこともありつつも、通常より敏感だと聞いていた子どもたちには、是非とも自然素材を使った心地よい空間にと、
杉間伐材を使った無垢パネルを床や机にオイル塗装で、壁は漆喰で、、と手抜かりなく、
となると厳しくなるのはコストですが、まず材料費の方ではメーカーや森林組合に掛け合ってプロジェクトの重要性を説いて、材料を安価提供してもらったり、
施工手間の方では、漆喰を塗ったり、ペンキを塗ったり、オイルを塗ったり、材料を運んだりのその都度、(コテや刷毛を複数用意して、)
facebookやチラシやHPなどでworkshopを呼びかけることに。
やむなくとったスタイルで、こんなに多くの工程を、workshopでしかも地域に開くというのは古市事務所的にも初めての経験で、最初は負荷を考えて、どうなることやら、いやなるようになるや、などと思っておりましたが、
実際に、近隣のオフィスから昼休みなどを利用して、壁面を漆喰で塗りに来てくださる方々などたくさんいました。
一緒に隣で壁を塗りつつ、「実は・・うちの子も、発達障害のグレーゾーンで・・」などというお話なども伺ったりして、
街中にこそ、こういう場所が必要なのだと、という重要性を工事現場を開いたworkshopの最中から、ひしひしと感じました。
また、関わってくださった方たちの痕跡は残るもので、そのラフさの中に温かみがあるというと言い訳のように聞こえるかもですが、本当にそのように思える仕上がりです。
また 放課後はアンブレラ関内として地域に開く拠点となります。
発達障害とそれを取り巻く状況を詳しく知ったのはその時が初めてでしたが、
私自身、自由闊達な男子たちを持つ一人の母としてもプロジェクトの内容に強く共感し、その後も打ち合わせではどちらが相談者なんだか、日野校長先生始め、私の子どもたちの相談まで聞いて頂いたり、安心の拠点が関内にできてよかったと心底思いつつ、今に至ります。
明蓬館高校SNECでは随時、相談を受け付けています。
中学生高校生 (その前段階の小学生でも)困ったな、何かちょっと違うのかな、など、関内散歩がてら相談に行ってみてください。
皆で作ったラフであたたかい空間がお待ちしておりますよ。
プロジェクト:
宮島真希子 NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ理事、明蓬館高校神奈川中央キャンパス横浜・関内SNEC 副センター長
杉浦裕樹 NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ代表理事
日野公三 明蓬館高等学校校長/横浜関内SNEC センター長、株式会社アットマーク・ラーニング代表取締役
大工工事:椎橋良太(彫刻家)
照明設計:mantledesign 久保隆文
水性塗料塗装、漆喰左官、米ぬか塗装、蜜蝋塗装、:地域の方たち
設計監理:古市久美子建築設計事務所
材料提供:Jパネル 株式会社レングス、 タナクリーム田中石灰工業、日本キヌカ
ビルのHPにプロジェクトについてインタビュー記事掲載中です。(文:大谷薫子 氏)http://taiyusha.co.jp/file06/