那須の家 housenasu
/那須の家 設計memo/
那須岳の中腹にある別荘地に敷地調査に行った時、やっぱり雨が降っていて、傘をさしてボウボウに草の生えた敷地をうろうろした後、
休憩しようと敷地に生えていた大きな松の木の根元に腰を下ろしました。
その時に感じた安堵感から、これから建つ家もこの松の木に寄り添うような関係性がもてたらな、と思いました。
那須の気候は、非常に湿度が高く、冬は山から吹き下す空っ風(北風)が強く非常に寒いです。(複数の河川による扇状地で河水のほとんどが地下水となることもあり、そのためか多湿であるので、湿度対策は必須な敷地である。)また、地盤調査の結果、地盤改良の必要あり、と出たこともあり、整地のコストのことも課題に上がりました。
多湿、降雪地域、斜面の敷地、松の大木の根っこのことなど諸々検討の結果、床から下の部分を鉄骨造の浮床とすることにしました。鉄骨造の浮床の上に、木構造で床から家を組むことになりました。浮床構造で地盤からの湿度が風によって抜けて行くので、高床式倉庫のように木軸が傷みにくいのです。また那須岳から続く緩やかな斜面の敷地形状をほとんど手を加えずに建てることができて、周囲の環境とよく馴染んでいます。
1)室内熱環境
外部の輻射熱をシャットアウトしつつ、壁の湿度を逃がすアルミ遮熱透湿シートを採用し、屋根と床、壁まで家をすっぽりとくるんでいる。
夏は太陽光の日差しがもたらす輻射熱をカットする。冬は、冷えきった土の冷たい輻射熱をカットしつつ、暖炉の暖かい輻射熱を魔法瓶効果で逃がさない。夏は涼しく冬暖かい家となっている。
2)仕上
床は家のすべての部屋(和室畳以外)が厚さ30ミリの杉の無垢材。素足であるくととても心地よい。壁は珪藻土塗り壁と無垢の杉縁甲板貼。
3)部屋の構成
1つの大きなリビングと部屋が3つ+水回り。各部屋の欄間部分は抜けており、家全体の天井がつながっており、大きな広がりを生んでいます。傘の内部のような天井を目指しました。